『昔のことは伏せておこう』


そう書かれたふせんを渡した
主は太一兄だろう。



「太一君…勉強で来てるわけだし、
昔のことみんなにバレたら大変でしょ?
だからそうしたんだと思う…」


相変わらず目を見て話さない穂乃香は
自分に言い聞かせるように言った。


「3人だけの秘密って楽しそうじゃない?
それが1番だと思う…だから紳も秘密ね!」


穂乃香のとびっきりの笑顔は
作り笑いだった。


授業があるからと
穂乃香は先に教室へ戻った。



あまりにも突然すぎた出来事に
俺はどうしていいか分からなくなった。