「えっ、えっ、ほのちゃんっ!
どうしたの?どこか痛いの?
怖い夢でも見たの…っ?」



どうしていいか分からない
幼い俺はあたふたしたまま、

手当たり次第聞いてみたけど
穂乃香は首を横に振るばかりだった。


俺が考え込んでいると
穂乃香が俺のパジャマの裾を掴んだ。



「…寂しいっ……」



うつむいたまま、
ぽつりと穂乃香は答えた。



「なんで寂しいの?
ほのちゃんには僕がいるよ?」



まだ寂しいなんていう
感情を知らなかった俺は

穂乃香の寂しいと思う気持ちに
不思議としか思わなかった。