―あの頃…―― 穂乃香も俺もまだ小さかった。 多分…穂乃香が小学校に 上がって1年経つ頃だったかな? あの日も、 同じように穂乃香は泣いていた。 特別怪我をしたわけでなく、 どこかが痛いわけでもなかった。 お気に入りの人形を なくしたわけでもなく、 誰かに怒られたわけでもなかった。 むしろ、 穂乃香を泣き止ませようと 穂乃香の両親はお菓子や おもちゃを与えていた。