夏休みがもうすぐやってくる。
あれから随分たってしまった。
「愛美、付き合おうぜ。」
「やだ。」
毎日続くこのやりとりにも、だいぶ慣れてきた。
「俺のせいであの先輩にふられたなら、いっそのこと俺と付き合おうぜー?」
「や、だ!」
私は先輩以外、好きにならないし付き合わない。
そう決めた。
これは、私の決めた決意。
「愛美、次移動教室」
「あ、うんっ」
あわてて荷物を持って廊下にでる。
「あっ、」
教科書を落としてしまう。
そこからすっと延びてくる長くてきれいな腕。
「拓海、先輩」
「落ちたよ?」