「ねえ、今日はずいぶん気分が良いから廊下に出ても良い?」

健太郎君はお母さんにお願いしました。


お母さんはぶつぶつ言いながら、車椅子を押して、廊下に連れて行ってくれました。


中庭の見える廊下に着くと、健太郎君は手摺り越しに下を眺めました。


八階の病室から眺める中庭は小さく、さらにハクモクレンは小さく見えて、けれどもハクモクレンが言っていたように、白い花が咲いているように見えました。