「ある日、困ったことが起きた。

起きたというよりは、起ってしまったと言ったほうが良いかな。

もうすでに、取り返しがつかないところまで来ていたからね。

増築した建物で僕らに太陽の光が当たらなくなったんだ。

その事にはじめは誰も気がつかなかった。

僕らでさえ、気にも留めなかった。

でも、真綿で首を絞められるみたいに、徐々に僕らを弱らせていったんだ。

それは建物のせいばかりじゃなかった。

僕らは大きさの割に、近くに居すぎた。

最初は小さな苗だったけど、成長すると大きくなる。

その事を誰も考えないで植えたんだ。

一番初めに考えなくちゃいけないことだったのにね」