«生徒会選挙 5月10日 一年生、お待ちしております»


その広告の紙の下には、応募用紙と箱があって、
其処に選挙をしたいと言う人が名前を書いて入れる、という仕組みだった。
僕は、その紙を一枚取ると、筆箱を取りだし、名前を書く。
名前の下には、何個か質問があって、その返答次第では、選挙に出ることが出来ないと書いてある。
また、選挙に当選したとしても、そのあとの活動が見られない場合、再選挙とも書いてあった。
全ての注意事項をきちんと読むと、質問に答えていく。


Q. 貴方は何年生ですか?

A. 一年。


Q. 自分の長所、短所を書いて下さい。

A. 長所はいろんなことに挑戦するところ。短所は人前で上手く話せないところ。


そんな質問が10個程度並んでいた。
きっと、一つでも空欄があれば、選挙には出られないだろう。
そう思いながら回答を埋めていく。


Q. 貴方がこの学校でしたい活動は何ですか?

A. 挨拶を活発にする為、挨拶運動をしたいです。


Q. 最後の質問です。貴方が生徒会をやりたいと思った理由は?


一瞬手が止まる。
どうしようか、本当のことを書いた方がいいのだろうか。
"生徒会長に惚れたから"なんて。
ふざけていると思われるだろう。
此処で、折角のチャンスを無駄にするわけにはいかない。


A. 学校をより良くしたいから。


そう書くと、半分に紙を折り、其処を後にした。