「嗚呼、きんちょーするー」
そう言ったのは篠崎くんだ。全く緊張してないように見える。
けれど、彼は彼なりに緊張しているのだろう。少し、手が震えていたような気もする。
昼休みの放送。
じっと、ただ結果が流れるのを待つ。
そして、プツリと放送の電源が入る音が聞こえると、チャイムが鳴った。
「あれ、今入ってる?マイク、大丈夫?」
女の人の声だ。
なんだ、魁王先輩じゃないのか。
放送の後ろでは、「入ってるよ」とか「あはは、これ、流れてるよ」とか、話し声が聞こえて。
リラックスする。
けど、早く結果を伝えてほしくてうずうずした。
「嗚呼、そうだ。結果発表でしたね。それでは、立候補して下さった皆さん、よく頑張りましたね。けれど、どんな結果であろうと、受け止めて頂けると嬉しいです。__では、発表します………」
__ハズレ。
僕は当たらなかった。
隣で喜ぶ篠崎くんが羨ましい。
僕は気に入られなかった、この学校に。嗚呼、僕は、僕は_魅入られなかったのか。
『1年は、篠崎要くん、あと__2年は___はい、多分、これで全部だと思います』
駄目だなあ。本当に。
自分を責める。
「落ち込むなよ。また、来年があるって!」
と肩を叩いてくる篠崎くん。
駄目なんだ。来年じゃ駄目なんだ。
だって、僕は、あの人が居ないと駄目なんだ。憧れの_いや、違う。
僕が、生まれて初めて、
恋をした
魁王先輩がいないと。