一瞬、世界が凍りついたような錯覚を覚
えてしまい、何度か瞬いてから、ハッと
我にかえる。



傍観者の俺でさえ、こんなにもダメージ
をくらったんだ。佐藤くん、きっと立ち
直れないくらいの大ダメージだったろう
なぁ……。



案の定、彼は力なく笑うと、病人のよう
によろよろと頼りなさげに戻っていった




しかし、ずっと倉沢さんはそこから動か
ない。―――つまり必然的に、俺も動け
ないという事で。



なんで動かねーんだよ、と不思議に思い
ながら様子を伺っていると、不意に、倉
沢さんがクルッと方向転換して。



しかもそれがまんま俺の方向だったので
ドキッと嫌な音を心臓が立てた。



「おーい、優希くーん。そこに居るのわ
かってるよーっ?」



突然、そんな風に名前を呼ばれて、ビク
ッと身体が跳ねてしまう。



こ、この距離で気づかれてたなんて。