「あ…」
 あたしはともかく、西野くんも作品が未完成のままだ。
 文化祭は明日。
 周りのみんなは、次々に作品を提出していく。
 どうしよう…?
「西野くん、どうする?」
 西野くんに聞くと、西野くんは、少し考えてから言った。
「ぼくは美術部ですから、放課後も美術室が使えるんです」
 そうかぁ…
 …だけど、西野くんの話は、まだ終わっていなかった。
「でも、今日は部活がないんです。 だから、美術室に行くのは、ぼくひとりです。 部長だから鍵も取りに行けるし…もしよかったら、一緒に描きませんか?」
「い…いいの?」
「はい。 いつもの、ノートのお礼です」
 そう言ってほほえむ西野くんは、すごく…すごく、カッコよかった。