「……不思議だね」

 松本くんの顔を見られなくて、前を向いたままあたしが話し出すと、うつむいていた松本くんは顔を上げた。

「不思議だよね。 松本くんをずっと好きでいる女の子なんてたくさんいるのに、そんな子じゃなくて、あたしを、それもよりによって、…松本くんのことなんて好きじゃなかったあたしを、松本くんが見ててくれたなんて」

 唇をかみ、また下を向きかけた松本くんの動きは、
「でもね」
 あたしの言葉で止まった。