そして、5分後。
「島崎さん」
 西野くんの声に、床を拭いていたあたしは顔を上げた。
「綺麗になりましたよ」
 そう言って西野くんが広げたセーターは、確かに元通り真っ白になっていた。
「ほんとだ、すごーい!! ありがとう、西野くんっ」
 あたしがお礼を言うと、西野くんは少し照れたような表情になった。
「いえ、ぼくもよくあるんです、絵の具で制服を汚しちゃうこと。 だから、慣れてるだけで。 …それより、机とか床とか、拭いてくれてありがとうございます」
「そんな…あたしがこぼしたんだし。 迷惑かけて、ほんとにごめんなさい」
 もう一度謝った。