「すごーい…」
 …なんて言っていられたのは、初めのうちだけだった。
 10分ほど歩いた頃には、心も体も疲れきっていた。

「もう…ムリ…」

 おかしな色の光。

「道…どこ…?」

 前も後ろも、右も左も、鏡に映った自分だらけ。
「うっ…」

 目眩がする。

 こういう所、あたし、苦手だよ……。

 気分が悪い。

 自分が鏡の中にいるような気さえしてくる。

 ふわふわした感じ。

 頭がボーッとする。

 何も見えない。

 考えられない。

 わからない。

 その場にうずくまった。

 松本くん…誰か…

 来て…

 助けて……