「うーわ、でかっ!!」
松本くんが声を上げるのも無理はない。
だってこの巨大迷路、体育館よりもまだ広い…。
「…ほんとに行くの?」
松本くんを見上げると、
「…もう、行くしかねぇだろ?」
松本くんも、ちょっと怯えた様子で言った。
あたしは黙って、松本くんとつながれた右手を見る。
そう。
こうやってカップルのふりをしてまで遊園地に入った以上、ここに入らないわけにはいかない。
あたしたちはお互いの顔を見て、ひとつ、うなずくと、あたしたち以外は誰一人として入らない、ただぽっかりと口を開いて待っているだけの、“巨大迷路”の入り口に向かった。