*恋の迷路。*
「っつーことで。 文化祭、俺らのクラスの展示は…迷路」
…はあ?
「めんどくさ―」
「迷路ぉ?何でよ!?」
みんなが文句を言う中で、一番めんどくさそうにしてるのが、この発言の張本人、松本優吾くん。
「しょーがねぇじゃん。 俺がジャンケンに負けたんだからよ」
「…お前のせいかよっ!!」
クラスからの非難の声、見事にハモってます。
…ああ、気が重い。
あたし―――里田美結は、一つため息をついた。
うちの学年で出てた案は4つ。
その1、お化け屋敷。
その2、ミニゲーム。
その3、喫茶店。
その4、迷路。
各クラスの学級委員がジャンケンをして、勝った順に4つの中から選ぶ形式だった。
松本くんによると、1番に抜けたのはC組で、喫茶店を選んだ。
次がA組で、チョイスはミニゲーム。
3番目がB組で、選んだのはお化け屋敷。
で、負けに負けた我らがD組・松本くんに残されたのは「迷路」。
「まあ、なんとかなるっしょ! ほら、残り物にはなんとやら」
…無責任だな、この人……。