帰り道。
 1人で夜道を歩くあたしの耳に入ったのは、
「おつかれさん」
 聞き覚えのある、あの声。
 そして、頭をクシャッとなでられる。
「新川くん…! お疲れさま」
「楽しかったな!!」
「…うん」
 もう明日からは、新川くんと一緒に放課後の時間を過ごすことなんて、ないんだよね……。
 寂しくて、新川くんの顔もまともに見られない。
「どうかしたか?」
 うつむいたあたしの顔をのぞき込むようにして、新川くんが聞いてきた。
「うっ、ううん。 なんでもないよ」
 慌ててごまかすあたし。
 新川くんは「そっか」と言いながら前を向き、歩きながら話し始めた。