どこか緊張した面持ちの監督さんが、声をはり上げる。
「じゃあ、カットなしでいきまーす。 5、4、」
 3。
 2。
 1。
「GO」

「じゃ…」
 駆け出すあたし。
「おいっ、楓!」
 追いかけてくる新川くん。
「あっ…」
 転びそうになるあたしを、無言で支える新川くん。
 そのまま、あたしは、新川くんに抱きしめられる…―――――