そして放課後。
「みんな、ちょっと聞いて!!」
呼びかけたのは、もちろん新川くん。
そのまま、黒板の前に立つ。
「一宮が、台本を仕上げてくれたんだ。 っつーことで、キャストを決めたい。 とりあえず、必要な役割が―――ここにある通りだ」
そう言って、小黒板を持ち上げる新川くん。
「<男子>
•主人公の幼なじみ
•先生(×3)
<女子>
•主人公
•主人公の親友
•噂好きなクラスメート(×2)
•主人公の幼なじみに告る人
<その他>
•監督(×3)
•カメラ(×5)
•残りは、クラスメート役 」
すご…
だって、あたしが台本を渡してから、空き時間はそんなになかったはず。
それなのに、ここまでまとめたんだ…。
あまりのすごさにポカンとしているあたしをよそに、新川くんはどんどん話を進める。
「この中から、一人一役ずつ選びたいんだけど、多数決取るのも時間かかるから。 これら全部を、一回何かの紙に書き写して、自分がやりたい役に丸つけてきて。 それから、それ以外の役の横に、推薦したい人の名前を書いといて。 それを集計して決めるから」
新川くんは、そこまで一気に喋ると、あたしの方を見た。
「一宮、なんか希望ある? この役は誰にやってほしい、とか」
「えっと…主人公の親友は、陸上部の子、幼なじみはサッカー部員。 監督は演劇部の子に…やってもらいたいな」
「ん、じゃあ、それを踏まえて。 締め切りは月曜日な! よろしくー!! じゃあ解散」
新川くんの声で、みんなは部活へと向かった。