―――3日後。
「新川くん」
 休み時間に、あたしは新川くんに声をかけた。
 手に、完成したばかりの台本を持って。
「一応、こんな感じ…?」
 あたしがおずおずと差し出すと、
「お、書けたんだ?」
 そう言って、新川くんはパラパラとページをめくっていく。
 …そして、休み時間が終わる頃。
「………」
 新川くんは、無言で台本をぱたんと閉じた。
「どう…?」
 不安になったあたしが恐る恐る聞くと、新川くんは顔を上げた。
 顔が怖い……と思ったら。
「すげーじゃん!」
 にこっと笑って、そう言ってくれた。
「一宮に、そんな才能あったんだな!」
 意外、とでも言いたげに、からかってくる新川くん。
 思わず頬を膨らませて、
「ひっどーい!! じゃあ、この台本返してもらおっかな」
 応戦してしまうあたし。
「ああ、いいよ。 クラスの準備が進まなくて怒られんのは、俺じゃなくて文化祭委員の一宮だし?」
「くぅ……」
 新川くんって…Sですか?
 すると新川くんは、表情を一変させた。
「うん。 じゃあ今この台本を元にキャスト決めたりしていくから。 サンキューな、台本作り引き受けてくれて。 おつかれさん」
 優しくそう言って、新川くんは、あたしの頭をクシャッとなでた。
「え…っ」
 今、何が……?