今日の5・6時間目は、美術。
 ――西野くんの瞳が輝く時間。
 まるで午後のためにエネルギーを蓄えるかのように、午前中、西野くんは…ずっと寝ていた。
 あたしはそんな西野くんを横目で見ながら、丁寧にノートをとる。
 見やすく、わかりやすく。
 だって。

 キーン コーン カーン コーン…

 …チャイムが鳴って授業が終わると、西野くんはいつも、
「島崎さん…ノート見せてください…」
 眠そうな声で、あたしに言うから。
「はいはい」
 わざと呆れたように手渡すノート。
 それを受け取る西野くんは、
「ありがとうございますっ!!」
 いつも、満面の笑みで。

 ほんとは、男の子には頼られるよりも頼りたい派のあたしだけど、西野くんのキラースマイルには、到底勝てません。