―――15分後。
『ミステリー 9票
 友情系   7票
 恋愛系   23票』
 新川くんの整った字が、黒板に並んだ。
「多数決の結果、恋愛モノに決定!」
「いぇーい!!」
 …新川くんの進行は、手際がいい。
 それに、みんなを惹きつけるオーラがあるから、寝てる人も、内職をしている人も、皆無。
 先生にも見習ってほしいくらい。
「じゃあ、脚本書いてくれる人?」
「………」
 あらら。
 本日、新川くんが言葉を発しはじめてから初の、沈黙。
 まあ、ここはひとつ、
「じゃあ、書こっか」
 作文得意なあたしがやってやりますか。
「一宮、マジで?! 助かるー」
「がんばりまーす」
「じゃあ、脚本が書けたら、キャストとか決めていくんで、そのときはまたよろしくな!」
「はーい」
 みんな、いいお返事。
 そろそろ話し合いも終わりの雰囲気だけど、まだまだ時間は残っている。
「あ、あのさ―…」
 あたしはおずおずと手を上げた。
「ん? どうした?」
 新川くんに聞かれて、あたしは立ち上がる。
「どういう感じのストーリーがいいかなって思って。 短め? 長め? 登場人物は何人くらい? …とか」
「ああ、じゃあ時間あるし、意見聞いてみよう」
 そう言って、新川くんはまた話し合いを進めた。