「お待たせしました」
 あたしが美術室の前に着いてから2,3分後、鍵を手にした西野くんがやって来た。
 カラカラカラ…
 ドアを開けると、つんと絵の具の匂い。
 それは、西野くんの匂い。
「じゃあ、やりましょうか」
「うんっ」
 あたしたちは、窓側の席に、机を向かい合わせて座った。