『じゃあ、サッカーするために体操服に着替えよ? 』
体操服!?
「体操服なんて持ってきてないよ?」
『やっぱり、葉穏はバカ葉穏だな』
「『影途!?」』
ドアに寄りかかり、腕組みをして静かに立っていた。
『仕方ねぇから体操服、貸してやるよ』
はいっと言って、影途は私に体操服が入っている袋を投げた。
「ちょっ」
私は危うく落としかけたが、ギリギリでキャッチした。
ちゃんと渡してくれればいいのに。
っと思ったが、口にはしなかった。
困ってるのは私だから。
『じゃ』
影途は後ろ向きで右手を挙げて、教室をあとにしかけた。
「あっ、ありがとう」
『どーも』
影途が教室を後にして教室が静かになる。
『俺、隣のクラスで着替えて来るから、着替え終わったらあの桜の木の下で』
そう言い残し、煌は教室を出た。