彼は、ふと遠い遠いこの広い空を見上げながら答えた。



『確かに返事は返ってこないよ?
でもよく言わない?
死んだ人は天国から見守ってくれてるって』


「うん」



渋谷が言った事は私も何度も耳にした事がある。



『だから、この空の上の天国より一番近いお墓の側で、その人に伝えられなかった事や、今日や最近の出来事を話せば、一人じゃないって思えるからじゃないかな? 』



ふと空に手をかざしてみる。


確かに天国は遠い…―


本当にあるかもわからないけど、私はあると信じたい。


お墓には亡くなった人の遺骨があり、体はないけど、その人の遺骨が置いてあるお墓はきっとその人との距離が一番近い場所。


天国より遥かに近い場所。



「渋谷、ありがと…
何だか1つすっきりした気がする」


『そか?
てかその渋谷っての止めない?
これからは煌(コウ)でいいよ』


「じゃぁ…よろしく煌」