冷静に今までのAnsyalとの出来事を
追いかけていく。
「結局、俺は唯ちゃんたち
兄貴のファンを
騙しつづけてたのかも知れない。
その罪悪感が
なかったわけじゃないんだ。
だけど俺自身が
兄貴の居場所を守りたかった。
兄貴の現実を一番受け入れられてないのも、
俺自身だから。
あの日から、
俺はAnsyalでは
兄貴の癖と言う癖を模倣した。
兄貴が目覚めてくれる日を、
帰ってきてくれる日を夢見てさ」
Takaをじっと見つめながら、
淡々と紡いでいく宮向井くん。
その言葉は
彼の懺悔のようにも聞こえて
切なかった。
「香港……。
宮向井くんは、真実を知りながら
私で遊んだの?」
恐る恐る言葉を紡ぐ。
その言葉が、
彼にどれだけの刃になるかなど
知る由もなく。