なら彼は?




「唯ちゃん、
 とりあえず来てよ。
 
 唯ちゃんの願い、
 叶えてあげるから」



私の願いを叶えてあげる。



願い?




その彼が紡いだ言葉で、
先程想像した、
それが確信へとかわる。



私は手を惹かれるままに歩き続け、
何時しか、
病室の前でピタリと足がとまる。


病室の前には
宮向井隆雪と記されたプレート。



彼は私の目を軽く見つめると、
目の前のドアをゆっくりと引いた。



個室。


カーテンが引かれた向こうのベッドには、
人工呼吸器に繋がれ、
沢山の機器に体を繋がれた
若い男性が
痩せ細った状態で眠っていた。



「唯ちゃん、兄貴だよ。

 Ansyalのギター。
 唯ちゃんのTaka。

 消えたい唯ちゃんを助けた
 唯ちゃんに、
 AnsyalのCDを送った
 Takaは兄貴だよ」



想像したそれが真実として
事実として、
宮向井くんの言葉で紡がれていく。


目の前で眠り続ける
この人がTaka?