降りかけた雨は
展望台に着くころには少し止んで
俺たちは、
展望台から地上を眺める。
眼下に広がる百万ドルの夜景と絶賛される
イルミネーションの光が生み出す
幻想的に景色は宝石箱のようで。
暫く俺と唯ちゃんは
声を失って、寄り添いながら
地上の景色を眺め続ける。
周囲の人たちは、
賑やかに写真撮影を始めてる。
だけど俺には、
それすらも無用のもので。
二人きり。
風を感じながら、
同じ地上の景色を眺めていた。
中央に見える、避雷針の姿が
先程は違った姿に色直しを見せ
また新鮮な夜を彩る。
唯ちゃんを覆うようにして
ただ黙って見つめ続ける贅沢な時間。
唯ちゃんの頬から、
暖かいものが流れ落ちては、
俺の手を濡らしていく。