百面相だね。


本当に唯ちゃんは、
俺の傍で
コロコロと表情が
変わっていく。


その表情も全て
独り占め出来たら。



「大丈夫だよ」



大丈夫。


唯ちゃんが見たい
大切な景色だったら
神様も唯ちゃんの願いを
叶えてくれる。


神様だけじゃない。

兄貴も手伝ってくれるだろ。


車は頂上の駐車場へと停車する。


運転手が、
後部座席のドアを開ける。



俺は黙って、
唯ちゃんの前に手を差し出す。


唯ちゃんは恥ずかしそうに
俺の手をゆっくりと取った。

エスコートしながら、
ヴィクトリアピークの展望台へと
歩いていく。


吹き込んでくる風が
想像以上に強く
Takaの紫の髪や、
唯ちゃんの髪を靡かせていく。