息を飲み込んで、
言葉を開こうとしたとき、
景色を見ていた
唯ちゃんが俺の方を向く。



「「あのっ」」


おいおいっ。

何処まで、
息があってんだよ。

同時に言葉を紡いでしまう。


「あっ。

 すいません、
 Takaさんから」


緊張しながら、
Takaの名をさん付で呼ぶ
唯ちゃんの表情が
愛しくて。



「別に、Takaでいいよ。
 いつもみたいにさ。

 唯香ちゃんだった?
 名前?」


雪貴が出ないように
兄貴を意識して
クールに努める。


「あっ、はい。

 緋崎唯香です。

 昔…………、
 Takaさんに貰ったCDが
 宝物なんです」