目の前にはルーズリーフ
真っ白で B5サイズの
明乃は それと数分前から 格闘をしていた
なんて書こうか なんて思いを伝えようか――
すると 明乃のわきを通ってゴミ箱に向かう田口
手には筆箱をもっていた
“何をするのかな?”と思いながら 彼の背中を目で追った
すると ゴミ箱に数枚の手紙を捨てていた
チラリと見せた可愛い模様
きっと女子からのものだ
『…なんで?』
訳がわからなかった
だけど なぜか彼の行動が気がかりだった
田口は席に戻って スッキリしたような笑みを浮かべている
少しだけ 手紙を書くのに気が引けてしまった――
手紙を捨てた――
それだけの行動が 明乃の手を止めてしまったんだ
目の前に 真っ白なルーズリーフが明乃の視界に入る
なんだか 頭の中まで真っ白にしてしまうそう――
「明乃…」
後ろから 棗が話をかけてきた
なんとも 言いづらそうな表情だった
『なーに…?』
「田口からの伝言なんだけど…」
明乃の視界に入った田口と目があった気がした
でも すぐに違う方へ向いた田口
『…』
「田口が…」
棗が かすかに目を泳がせていた
「――…手紙は受け取らないって…」