『…うわー…、目ぇ腫れてるぅ…』
今までの辛さを 涙として流したら 異常なほど目が腫れていた
ここまで泣いたのは 何年ぶりだろう――
泣き虫な明乃でも さすがに想像以上泣いたと思う
『…田口…』
彼のことを考えると せっかく引いた涙が また滲んできた
『もう…やだ!…この涙ぁああ…』
明乃は 目元を腕でグシグシと拭って 涙をふき取った
鏡に覗くと 醜い顔の自分
『田口は…もっとキレイに泣く子が好きなのかなー…』
例えば 透里とか――
考えるだけで涙が滲んでしまう
辛い つらい ツライ
ツ ラ イ
『もう…やだよ…』
あふれ出る涙を抑えられない
明乃は その場で涙を止めることは 今の状況では 無駄だった