みんなに 先生から頼まれた“保護者様へ”を配っていた明乃
6人くらい配った後だろうか
“田口 ○○様”
ぇ…
田口宛の封筒が 明乃の瞳に写った
教室で読書をしている田口の方へ 恐る恐る近づき そして…――
『あの…これ…』
震えるのを懸命に抑え 田口に封筒を差し出した
なんとなく 田口は睨んでいるように見えたけど 黙って田口は 封筒を受け取った
「…ん」
いつものように“ありがと”とは言わずに 発した言葉はから返事――
田口…機嫌悪い?
でも――どうして…
ふと気づいたときには遅かった
このとき 気づいていればよかった
そうすれば この恋で涙を流さなくてすんだのに
今思うと 私がいけないんだけどね…――