書初めの授業中――
明乃は得意な習字で 国語の成績を少しでもあげなくてはならないから 真剣に取り組んだ
そして 力作が完成した
今年の字は“友の笑顔”
明乃の得意な字が 2文字も入っていた
『ぉお!なかなかでございますな』
早速提出して 棗のもとへ 足を弾ませて向かった
しかし…――
目の前には タ グ チ
なんだか 足が竦んじゃう...
そう思いながらも 明乃はゆっくり向かい始めた
『ちゅりーっす…』
「ちゅりーっす」
突然思いが閉ざされたといっても やっぱり気になってしまう
こんなに好きなのに――
こんなに思っているのに――
ト ド カ ナ カ ッ タ
今はまだ 現実を受け止められない
いや… 受け止めたくない――
そんなことを思いながら 田口に視線をおくっていると…――
「佐藤…おまえさー」
――ドクン
胸が締め付けられた
話さないで はなさないで ハナサナイデ
ハ ナ サ ナ イ デ
蘇る昨日の辛さが いっきにあふれ出て来てしまって 明乃はつい 田口の言葉を無視して
しまった――
「…なんで無視するんだよ…」
明乃の不審な態度に 田口も気に入らなかったようだ――
『い…いや、なんでもないよ…』
あからさまに 変な行動だと 自分でもわかる
でもね田口
私はそれぐらい辛いんだよ――
それが原因で これから降りかかるものが たくさんあるに 明乃は後悔を覚えた…