『…ありがとー』
明乃の心からのメッセージ
すると透里は 頬を持ち上げて キレイに笑った――
『そういえば、透里は例の人とはどうなん?』
確か透里も好きな人がいたんだ
今 微妙に気になっている人と もう1人――
そのもう1人というのが 半年くらい前に その男子を好きだった子と透里で アタックしていた
しかし 去年のバレンタインデーに ライバルの子が告白してしまって そのまま...
本当に辛かったと思う
彼女の方がずっとずっと前から好きだったのに その思いは届かなかったんだ――
だから今でも引きずっているらしい
その微妙な隙間のところで もがいているんだ――
いつも相談にのってもらっている透里の“力”になりたい
その一心で 彼女の恋愛の協力がしたかった
「うちはー…、まだわからないやっ」
寂しそうに微笑む透里の表情が 明乃にはまだよくわからなかった――
“本当の恋”
それは胸が張り裂けそうなほど辛くて 切ないものだとは 知らなかった
『そっか…。でも、透里なら大丈夫だよ!』
「ぇ?」
『透里は優しい子だもん。きっと透里のことを見てくれる人がいるよ』
すると透里は「そうかな~?」って言いながら 調子にのっていた
『そうだよ。絶対ね!うちが保証するよ★』
時は夕暮れ――
下校中の中学生が たわいもない会話で笑顔になれる時間帯
「じゃー…明乃の言うとおり、待ってみようかなー」
明乃はこの後 知ることになるんだ――
もうすぐ透里に彼氏が出来ることを
出来ることなら 時間がもとに戻せればいいのに…――