木枯らしが吹きぬけてく――





見も心も寒いけど 透里に詠美のグチを こぼしながら下校していた


『でねー…詠ちゃん(詠美)がうちに…自慢して来たし……。あ゛―ムカツクゥ!!!キー!!!!!』




地面にある無数の小石を 蹴っ飛ばしながら怒っていた


「まー、大丈夫だよ。加瀬には彼氏いるじゃん」



『いるけどぉ…、なんか…詠ちゃんのことを…好きになんないかなーって…』






不安が胸にモヤモヤと溜まっている――


気持ち悪い...

悔しい...


詠美が男子と仲良くするなんて いつものことなのに 田口を好きになったときより CDを交換したときより もっともっと…好きになってたんだ――








だけど そんな田口を見ても 何も出来ない無力の自分が歯がゆくて仕方ない――



そんな明乃の頬を クイッとつねり「大丈夫だよ」と優しく言葉をかけてくれる透里












本当に心の支えだ――







透里と棗...


彼女達の言葉が 明乃を何度も立ち上がらしてくれる

どんなに転んだって 優しく手を差し伸べてくれる


だから明乃は この永い道を 少しずつでも 前へ進めるんだ――