視界の中にいる田口にわからないように――
自分の気持ちを押し殺してでも 笑みをこぼした
「ぇえー、嘘つかないの。やせ我慢は、肌に悪いよー」
背中で隠してある右では 怒りで震えていた――
拳を固く握って――
『大丈夫だってぇ、余裕―★』
少しでも顔が引きつらないように できるだけ笑顔で頑張った
自分なりに よくやった気がする――
そして 明乃を怒らすだけ怒らせて 詠美は仲のいい子のところに戻っていった
『棗ぇ…、あいつムカツク…』
怒りと共に自信も奪われた気がする――
彼女は冗談半分だったんだろうけど 明乃にとっては 今の発言は 最低なものであった――
明乃は 棗の体を支えにして 立っていた
――まじ最悪…
これが辛い恋の始まりだった――
だけどね…今だから言える言葉がある…
――どんなときだって 道は続いているんだよ――
――不安で震えるだろうけど
――ゆっくりでいいから 前を向いて歩いて…
――決して平らな道ではないけど この辛い道を歩いた後は
――きっと“今”と言う光があるから――
――迷わず歩いて…
ア ル イ テ