「…!!」


気配の主がいた。

気配の主はフードで顔を隠しているが男だということが何となくわかった。


男は藤崎に果物ナイフらしきものを突き付けて言った。

「金だ。今持ってる全ての金を出せ。」

藤崎は、「ひぃ…!!も、持ってないんです!!」

悲鳴に似た声を出した。何故藤崎は悲鳴を出さなかったのか、藤崎も馬鹿じゃない。

ここで叫んだらどうなるか分からない。すると男は言った。

「なら、携帯を貸せ。早くだ。」

藤崎は「えっと…充電がなくて……家には…」しどろもどろになりながら言った。

すかさず男は言った。

「家にはあるんだな。じゃあ連れて行け。」

藤崎は少し拍子抜けしたような顔で頷いた。