【泌尿器科医side】

治療を開始してから数日経過したが、毎回、マッサージも排尿処置の際も愚図ってはいるものの、頑張って耐えてくれている。

電気ブジーは夜間以外、常に挿入した状態で不快感が常にあるようで、いまだに無意識に股に手を持って行く姿をよく見るのだが、見つけるたびに注意する。

それでも、手を戻そうとしない時は叱ることもよくある。

俺の監視がない時に抜こうとしていることが多く、よく病室に入った時に注意することが多い。

夜間以外は常に治療で不快感があるなか頑張らせているのに、ブジーを抜く危険性があるからといって、手を抑制するのは可哀想なので、妃菜ちゃんが起きている間は俺が、なるべく病室にいることにした。

そうすれば、少しでも股に手を持っていったらすぐに注意することができるから。

妃菜ちゃんが入院中は、クリニックでの外来診察は他の医者に任せて、俺は妃菜ちゃんの病室で事務的な仕事をしながら、治療に専念することにした。

「こーら、また、手お股にいってるよ。早く戻して」

「ごめんなさい。でも、気持ち悪いの…」

「ちゃんと戻せてえらいね。気持ち悪いのは知ってるよ。でも、我慢しなきゃね」

毎回こうして言い聞かせるのだが、気持ち悪さの方が勝るようで、何度も股に手を持って行こうとする。

「よし!今からお股の注射するよ」

妃菜ちゃんの股からブジーを抜き、注射の準備をしたが、妃菜ちゃんは見る見るうちに泣きそうな表情になっていく。

尿道用の特殊な注射器で、2か所注射するのだが、結構な痛みを伴うため、妃菜ちゃんは毎回大泣きする。

妃菜ちゃんじゃなくても、大人の患者さんでもこの注射はものすごく痛がるので、仕方ないが…

慎重に尿道内に注射器を進めていき、

「妃菜ちゃん、刺すから痛いよ」

「ギャー、やー(泣)」

「お薬入れていくからね、また痛いよ、我慢ね」

「ギャーギャー!ギャー、いーだーい(泣)」

「痛いね。あと1回だけ注射するよ。痛いからね」

「やーーー!」

「お薬入れるよ」

「ギャーギャー、やーだー、いだいのー」

「よし、終わり!痛かったね、良く頑張りました」