「電話だろ?遠慮せずに出ろよ」



バッドタイミングとはこのことだ。


せっかく勇気を出して聞こうと思ってたのに。



太陽の光が反射して画面がよく見えない。



目を凝らしてみてようやく、着信は大樹からのものだってことがわかった。



珍しい、どうしたんだろう。


なにか、あったのかな。



「ごめん、大樹からだから……出るね」



なんだろうと不思議に思いながら、リュウから離れたところで電話に出た。



「大樹?どうしたの?」



「妃芽か?」



焦ったような大樹の声に、心臓がバクバクし始める。



きっと、何かあったんだ。



「実は親父が倒れて────っ‼」



「えっ⁉」



ウソ、でしょ⁉



大樹の話はそこまでしか覚えていない。



気付くと足の力が抜けて地面に座り込んでいた。