「だったら触んねぇから……車戻ろう?な?」



優しい口調でそう呟くリュウ。


返事をすることは出来なかった。



寂しそうに笑うさっきのリュウの顔が頭をよぎる。



「そんなに俺のことが嫌いかよ?」



返事をしないあたしに、リュウが力なく言った。



その声を聞いただけで、どんな顔をしているのかが想像出来る。



ドクンと脈打つ鼓動。


きっと、寂しそうに笑ってるんだ。



それを聞きたいのはあたしの方だよ。



「あの女の人は────」



“誰?”



そう聞こうとした時。



ブーブーブーブー



デニムのスカートのポケットに入れていたスマフォの振動が全身に響いた。