「あっちぃ。車ん中、蒸し風呂だな」



外へ出たところで、太陽の光が容赦無く肌を照り付ける。



カンカン照りの空がなんだか憎らしい。



「なんか飲み物買ってくか」



耳でリュウの声を聞きながら、目は遠くを見つめていた。



頭の中は、いつかリュウと一緒にいた女の人のことでいっぱいだった。



あの人のこと、好きになっちゃった?



「妃芽?どれにすんだよ?」



「え⁉」



肩を叩かれハッとする。



やばい、トリップしてた。



「あ、えっと、じゃあ緑茶で」



ピッ


ゴトッ



「ほら」



お茶を取り出してあたしに渡すと、リュウは次にミネラルウォーターのボタンを押した。



「戻るか」



繋がれない手がいつも以上に寂しくて、チクリと胸が痛んだ。



なんだかもう、全部がやだ。