「カナ、そのバッグのかけ方やめろよ」

「・・・え?」



私の家の前まで迎えに来てくれたコウくんが

車の助手席に乗り込んだ私を訝しげな顔で眺めている


「幼稚くさい」

そう言うと車のキーをまわしエンジンをかけた



私がショルダーバッグを肩からポシェットのように

斜めにかけているのが気に入らないのだ



こんなのみんなしているのに、

そう思ったけれど言い返すのも面倒なので黙っていた



またひとつ、禁止事項が増えてしまっただけの事

コウくんは自分の好みをとにかく私に押し付けるのだ


ロングヘアの私は髪を勝手に切る事を禁じられていたし

パンツスタイルだと機嫌が悪くなるので

コウくんと会うときはいつもスカートしか履けない