結構長い時間2人で黙ってそこにいた気がする
誰かの足音が近づいて来たので私は繋がれた手を振り払い
私を見つめる彼をおいて店の中にもどった
その帰り、送ってくれるタクシーの中でも彼とは手を繋いでいた
けれどそれ以上の事は無く、彼も何も話さなかった
私はずるい人間だと思う
彼がもし強く迫ってきていたらハッキリ拒絶していただろう
この曖昧な恋愛感情を楽しんでいたのだ
そして結婚してしまえばこんな事もきっと無くなってしまうのを知っている
それを私は寂しく感じているのだ
こんな気持ちもマリッジブルーと呼ぶのだろうか
けれど私は貴志と結婚する
貴志ならこんな私をちゃんと繋ぎとめていてくれるから
だって貴志こそが唯一飲み会で出会った中で
私がどんなに拒絶してもしつこく粘り続け
根負けしてしまうくらい愛してくれた男性なのだから
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