その日の飲み会で私はいつもよりお酒がすすんだ
夏でも冬でも日本酒を冷で飲む私は飲みだすとトイレばかり行くようになる
すぐに排出してしまうからあまり酔わないのだろうか
ビルの2階にあるその居酒屋のトイレは
フロア全体にある何軒かのお店で共用しているため店外にあった
いつもより飲んでいるせいか私がそのトイレを往復する回数も多い
何度目かの時、トイレから出ると 壁にもたれて私を見つめている彼の姿があった
酔っている私には彼がなぜそこにいるのか深く考える頭は無い
でも目が合っているので何となく、横に一緒になって壁にもたれてみる
彼は私の手を取り握りしめると、結婚やめたら?とつぶやいた
何も言えずに酔いだけが冷めていくのが分かる
そんな簡単にやめる事は出来ないけど
彼もそれ以上何も言わないので私たちは暫くそうしていた