「勝手に廃松中に行くなんて決めてごめん…。でも俺、必ず会いに行くから」
「……松澤」
「だから………、離れんな」
その言葉を聞いた瞬間、涙が流れた。
「離れていっちゃうのは松澤の方だよ……」
あたしは離れたくない。なのに、松澤が離れていっちゃうんだよ。
「あたし……、松澤と離れたくない。離れたくないよぉ……」
「五十嵐……」
涙は止まらない。泣いてばかりじゃ、松澤に迷惑かけるのに。
あたしの頭の上には松澤の手。
ぎゅっと強く抱き締められた。
「必ず迎えに行く。……それまで待ってろ」
その後の記憶があんまりない。
ただ、松澤が家まで送ってくれたのは覚えてる。
手を繋ぎながら。
別れ際に、松澤にキスされて……。
そこで初めて今日、松澤の前で笑えた。
そんなあたしを見て松澤も笑い、笑顔でさよならすることができた。