(( 優舞side ..♪ ))
校庭にはたくさんの人で集まっている。
泣いている子、笑っている子、先生と一緒に話している子。
そう、今日は卒業式。
ついさっきまで卒業式を行っていた。
卒業式を終えて、皆写真を撮ったり寄せ書きを書いたり……。
その中にあたし、五十嵐優舞はいない。
なぜならあたしは───学校の近くにある公園にいるから。
それも一人じゃない。
同級生の松澤尚輝という男の子と一緒にいる。
あたしが黄色のベンチに座ると、松澤も隣に座った。
「ねぇ……、松澤」
「ん?」
「あたし……、どうすればいいの?」
ちょっと茶色にかかった髪。
男の子のくせに、くりくりとした大きな瞳。
目が合うだけでドキっとしてしまう程、整っている顔。
松澤の全てが愛しい。
だけど…………。
「松澤と離れたくない。何で別の中学校に行かなきゃいけないの……?」
松澤の顔が涙で歪んでよく見えない。
だけど、悲しそうな顔をしているのは分かった。
あたしと松澤は別々の中学校へと進学する。
その事を知らされたのは、数日前だった。
だからさっきまで口聞いてなかったし、ずっと松澤のこと避けてたんだけど……。松澤に捕まってしまい、無理矢理ここに連れられてきた。