止めないでくれ。

そんな簡単に言うなよ。

やっと、逢えた。

逢えたんだよ。


やっぱりこの町にいて、この学校にいた。

10年振りなんだ。

やっと、やっと…


「蒼次。
今…あいつに……」

「あかねちゃんだろ?」


陽平の口から出た一言。

俺と蒼次しか知らないはずなのに。


「なっ……!!」

「ごめん。俺が話した。
でも陽平が知ってたんだ」

「…何を?」

「あかねって名前の子が
この学校にいるって」

「!!!!!!」


その言葉で俺は確信を持てた。


さっきのはやっぱり間違いない。

“あかね”だって。



あの時の再会のことは今でもよく覚えているよ。


最初は周りの女達よりもダサい奴だと思った。


見たこともなかったから。


10年振りの彼女は幼かった頃の彼女と違った。


どこかに影を抱えているようだった。