手を伸ばせば届きそうなぐらい近い距離。

でも彼の事は、ここからの眺めが好きでよくここで過ごしてるって事しか知らない。

「彼氏と喧嘩でもした?」

「さあどうかしら?」

言葉遊びを楽しむだけで私は十分幸せになれる。

たとえ手を伸ばすことが叶わなくたって。

そう思った時不意に彼の手が伸びてきて私の頬に触れた。

「そうな顔すんな口説きたくなるだろ?」

心音が一気に高鳴る。
触れたところから熱が上がる。

「寂しいならいつでもおいで。ココ、指定席にしとくからさ」

指定席。
ベランダを越えたら何かあるかな?

私が酔ったのは、甘くて苦手タブー。