ベランダで一人月を見ながらビールを流しこむ。

「…なんか」

「超虚しい」

突然降ってきた私以外の声に視線を向ける。

「って感じ?」

意地悪そうなからかいを含んだ目と声が私に問いかけた。
いつの間にか彼もベランダに出ていたらしい。

「勝手にアテレコしないでくれる?」

「あれ?違った?じゃ、さみしーだ♪」

楽しそうな声に釣られて、沈んだ私の思考が浮上する。

「そーかもね」

彼が笑う。

不思議な位穏やかで、優しい笑顔。

悩む事が、どうでもよくなる。