「ちょっ・・・ちょっと待って!!!!」



あたしは精一杯声を出した。

廉造の大きくて、暖かい手と
かすかに耳にかかる吐息に
押しつぶされそうになりながら。




「何で?俺の事嫌い?
 他に好きな奴でもいんの?」



あたしに聞こえるぐらいの
小さな声で囁く。


あたしはゾクゾクして、
思わず震えそうになりながら
廉造の手をどかそうと必死だった。



でも、あたしの胸の上で
力強く両手を結んだこの手は
女の力じゃほどく事も不可能だった。




「そんなんじゃないけど・・・
 でも廉造の事そんなに知らないし・・・」


あたしの言葉を遮って廉造は
次々言葉を発してくる。


「付き合ってからでもいいだろ。
 俺、響の事マジだから。」




そんな事言われたら
断るにも断りきれないじゃん・・・。